神道 感謝のこころ 葉室頼昭著 春秋社
葉室さんはつねに感謝の大切さを説かれます。
感謝の心のない生活に真実の健康は存在しません。
「太陽の光、即ち日光は明るく、温かい」と誰もが思っています。そして、その日光が送られてくる太陽と地球の間の宇宙空間も明るく温かいはずだと思っています。しかし、実際には、宇宙空間は暗く冷たいのです。なぜでしょうか。日光は地球を取り巻く大気で反射して、はじめて明るい光と熱が現れるのです。
これと全く同じで、万人に平等に与えられている神さまの恵みも、感謝することによって、はじめてその人の前に現実に見えてくるのです。
幸福が与えられたから感謝するのではなく、感謝するからこそ幸福が与えられるのです。このことに気づかない人が多いようですが、感謝には、理屈や理由は不必要なのです。（18p）
これが本当のところなのだと思います。
現代のような損得ばかりの世の中になると自分の都合のよいことには感謝をするけれども、自分に不都合なことは他のせいにしてしまいがちです。
それどころか自分にしていただいたことへの感謝すらできない場合が多いようです。（人ごとではありませんが）
この世に偶然はないといいます。不都合なことでも自分にとって必要な経験なんだ、と自覚できればそれを感謝で受け止めることもできるのだと思います。
そんな理屈は抜きにして、何事に対しても自然にスッと感謝できるようになればありがたいと思います。
また葉室さんは次のように言われます。
神さまは、神さまの世界、真実の世界を見させるために人間をお造りになられました。
その神さまの意志に従って神の世界を見るためにはどうすればよいのかというと、感謝しかありません。感謝すると神さまの波長と一体になり、そこに神さまの世界が現れるのです。
ここで、テレビの仕組みを思い出していただきたいと思います。地球上では、電波は放送局を通じて世界中に送られています。これをテレビ画像に現わそうとするとき、テレビ受信機から放送局と同じ波長の電波を出して、これに放送局の電波が同調して画面に映像が現れてくるという仕組みになっています。
この仕組みと、神さまの世界の仕組みは全く同じです。まるで、人間が発明した機械ではなく、宇宙の真実の仕組みを実体化しているもののようにも思えるほどです。
というのは、神さまと同じ波長を少し出せば、神さまの世界が現前に現れてくるということなのです。この神さまの波動こそ、無我の感謝なのです。理屈を考えない感謝の心をもてたら神さまの世界が現れてきます。難しいことでもなんでもありません。感謝さえすればよいのです。
理屈のない無我の感謝ができたら、すぐにでも神さまに会えます。簡単なことです。ですから神道はシンプルであり、ややこしい教理教典がないのです。（158p）
仏教でいうところの“悟り”を言葉であらわせばまさにこの通りなのだと思います。
何の修行でも結局は自我をなくし無念無想になるための訓練です。
そしてほんの少しでも無我の状態になったとき、神さまの波長と同調し、一体化するのです。仏教ではこの神さまと人間とが一体となる共鳴現象を“感応道交（かんのうどうこう）”と言いあらわしています。
仏教では“悟り”について古来さまざまに書かれています。
それはそれで味わいがありますが、葉室さんの言葉はシンプルで実にすばらしいなぁ、と思います。
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最終更新日：2008年12月12日
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