永平寺の１日は振鈴（しんれい）を鳴らすことによって始まります。
　当番などの役に当たっていない者はこの振鈴によって起きます。
　振鈴は僧堂から始まりそこから山に沿って作られているお寺の上に行く者、下に行く者と別れて鈴を鳴らしながら走ります。写真は下回りで吉祥閣という建物を走っている様子です。
　振鈴は辰司（しんす）という役目の者が日替わりで担当します。
　永平寺は広いのでけっこう複雑なルートを通りますが、それもたった１回先輩の後に付いて何人か一緒に回っただけで次からは一人です。
　私の場合、先輩が外国の方で、あまりにも早く走るので付いて行くだけで精一杯でとても道順を覚えるどころではありませんでした。
　その数日後私に辰司がまわってきました。まだよく知りもしない永平寺の中を１回フウフウいいながら回っただけで道順などろくに覚えていません。ところが、私はもう１回まわった“先輩？”ということで、今度は私の後に付いて道順を覚える（かわいそうな）人たちと一緒です。
　よくわかっていないので不安でしたが、時間がきたらやるしかありません。
　合図とともに走り出しました。しばらくしてから本当に迷ってしまいました。「え〜っ！どうしよう！！」と付いて来た人も一緒になってこっちだ！あっちだ！とウロウロしてしまいました。「もうこうなったら“勘”でいくしかない！」と進み始めた方向がたまたま正解でした。
　ルートはたまたま合っていたものの、途中ウロウロしてしまいその分遅れた為、途中「何やってんだ！遅いぞ！」と怒鳴られました。

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